GAFAにつながって
クリスマスが近づくと、浮足立つ街のきらめきとともに、あのときの掻き立てられるような焦燥感を思い出す。
私が初めてこの自助グループに参加したのは、2年前のクリスマスイブだ。夫の2千万近い借金が発覚し、これは病気としか考えられないと、あるギャンブル依存症の拠点病院へすがるような思いで夫を受診させた。
医師に家族の対応を聞くと、「家族のことは家族に聞くのがよい」とギャンブル依存症の家族が集まるある団体を紹介された。
偶然にも翌日にあったその団体が主催する会に参加し、そこでさらにその翌日のミーティングを紹介され、何が何だかわからないまま、こんなことが無ければ降り立つことのなかったであろう駅に降り立ち、扉を開けた。
大切な1歳の娘が家で待つクリスマスイブ、なぜ私はこんな日にこんなところにいるのだろうと、気が緩むと自分の人生を悲観したくなる思いを、「正しいことを学ぶ」という一点への必死さで打ち消していた。
私はとにかく、解決策が知りたかった。借金は義父母がすべて肩代わりした後だった。正しい知識を学んだ今なら、最もしてはいけない肩代わりを済ませてしまったことで、夫の病気からの回復のチャンスを奪ってしまったことがわかる。しかし当時は、日々増え続ける利息に怯えていて、とにかく一刻も早く返して自分が安心したかったのだ。お金の問題が一見片付いたように思えると、次は日々顔を合わせる夫への対応に苦しんだ。借金発覚前から情緒不安定で、落ち込んだりイライラしたりする夫を勇気づけたり、おどけてみたり、たまに言い返してみたりしながら、私の人生はこんな風に夫の機嫌を取って生きていくのかと、この状況から抜け出せることはないのかと、絶望的な気持ちになったりしていた。一方で借金発覚後は、夫の病気を治さなければ離婚したところで養育費をもらうこともままならないと、私が夫の病気をなんとかしなければと、妙な使命感のようなものも感じていた。
初めて参加したミーティングでは馴染みのない言葉が飛び交い、不安な気持ちにもなった。しかしその後参加したフェローで話した人々の温かい対応に、「あれ?なんか普通の人たちだな?安全な場所なのかな?」と気持ちが変わり始めた。初めて会った私のために、今後どうしたらよいのか何人もの人たちが知恵を出し合って考えてくれた。そんな経験は初めてだった。そして最初に言われた「まずは6回通ってみて欲しい。そうすると少しわかってくる」の言葉を信じ6回通う頃には、私の生活は一変していた。夫の機嫌を伺う毎日から解放され、娘と私の安全な場所が確保された。なにかあったらすぐに相談する相手ができ、一つのことに悩み続けることがなくなった。夫の借金発覚から初めて、泣くことができた。
奇しくもまたクリスマスへの喧騒の中、2年ぶりに夫のお金の問題が発覚した。この2年間、提案してもらう夫との適切な距離を守りながら、一人では行動に移せないことも、同じ経験をした仲間と気持ちを分かち合いながら進んできた。借金発覚前よりも夫と一緒に子育てをしている実感を持てていたことで、つい揺れ動き流されそうになる感情を、今は引き戻してくれる人たちがいる。夫には適切な対応をして夫の問題を夫自身に返す。私は、私自身が抱える自分の問題に取り組み、自分の人生を生きる。そして、私が救われたように、繋がってくるまだ見ぬ仲間を助ける一人になっていきたい。GAFAに繋がれてよかった。


